KibunLog for Sessionを
臨床心理士の初田美紀子先生に
使ってもらいました

KibunLog for Sessionのベータ版をリリースする前に、実際のクライアントさんとのセッションにて臨床心理士の先生に使っていただき、感想をいただきました。



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初田美紀子

公認心理師、臨床心理士。一般社団法人 育ちネット多文化CROSS 代表理事。産業カウンセリングとの出会いから臨床心理学大学院に進学、修士課程修了。適応指導教室・子ども家庭支援センターなどの行政機関にて家族支援の臨床経験を積む。人の健康と幸せのベースは”感情”の理解であると考え、活動の基本においている。現在も四谷ゆいクリニック[精神科(多文化外来)]での臨床活動継続中。



KibunLogアプリ導入の理由

認知行動療法やオンラインカウンセリングのニーズが増える

通常のカウンセリングの中でも、認知行動療法を使用することがあります。認知行動療法は書き出すことが大前提の心理療法です。最近では、療法名が周知されつつあるせいか、実施しているか?とお問い合わせをいただくことも多くなってきました。実際に、書き出す行為と共に、書き出された表や一覧を見ながら、カウンセリングを進めるのが一般的です。しかしながら、海外よりオンラインでカウンセリングを受けたいというご要望や、日本在住でも遠隔のためオンライン希望の方も増え、何か目に見える形、可視化できるものが欲しいと私も感じるようになりました。

クライアントからKibunLogアプリを知る

ある日、大学院の友人と話していたところ、「最近、若者がアプリで感情のログを取っていて、それを見せてくれることがあるんだよね。それも、最近連続だったんだよ。」と話してくれました。ログ?記録?私は、すぐに、友人にアプリの名前を尋ねました。「KibunLogっていうんだよね。自分は良く分かっていないけど...。」との返事でした。 この話から、わたしは早速自分の携帯にアプリをダウンロードして、内容を確認してみました。可視化できるツール、つまり自分の感情を目に見える形にしながらセッションを実施できると、非常にワクワクした瞬間です。すぐに、開発者の村上さんにご連絡すると、瞬く間に「実験セッション」をセッティングしてくださいました。

実験セッションの流れと内容

セッションまでのホームワーク

1回目のセッションまでに、最低3~5日のログを取ってくださるように参加者に依頼し、それに同意された方にセッションへご参加いただきました。事前の準備としては、ログの記録、表のスクリーンショットの提供です。

1回目のセッション

実際にセッションがスタートすると、まずは、自分と感情の付き合い方や、困っている点、生活において改善したい点などを各参加者にお話しいただきました。その内容と、実際にログや選択した感情を照らし合わせながら、ご自身の日々の傾向を見ていきます。お二人とも、とても正直に自分を記録されており、また、自分の傾向が分かることに驚かれていました。

2回目のセッション

2回目のセッションは約1か月後です。1か月間のログを取っていただき、ログの記録と共に、マイナス感情とプラス感情の変動を一緒に見ていきました。他者の感情の波も見られることで、ご自身の傾向がよりよく理解できると感じてくださったように思います。

画像:実際のセッションで使われたクライアントの画面

Kibunlogを使用したことによる参加者の変化

ログがまとまって記録されており、それを振り返ることが可能です。ここに、大きな利点があると感じました。つまり、日々流されてしまう事柄や感情が、目に見える形として復元できるのです。それは、参加者にとっては逃げられない怖さもありますが、自分を受け入れる大きなきっかけにもなります。今回の参加者お二人は、マイナス感情ばかりではなく、プラス感情は常に存在していることに気付かれていったことが、大きな収穫だったと思います。

普段のセッションとの違い

KibunLogアプリを使うことで、参加者の興味が高まると感じます。そして、それが継続的なサイクルに導入しやすいと思いました。例えば、ログが入っていないと、表やグラフは空白になってしまい、正確な数値やグラフが出現しません。その結果が得られないのは嫌だ。結果を「見たい!得たい!」と参加者の強いやる気を醸成しやすかったです。 また、可視化以外として、非常にエンターメント性が高くなるように考えます。心理カウンセリングや心理療法の実施は、比較的暗くて、重いイメージがある方が多いのではないでしょうか?しかしながら、アプリを導入すると、画面はカラフルでポップです。そして、自分のプラスを見つけようという意欲も生まれたように思います。なによりも、参加者が楽しんでいるのが伝わってきました。グループで取り組む意義も十分に感じられると思います。

おわりに

総じて、楽しいセッションを創り出しやすいと思いました。また、他者の感情を知ることで、自分の感情の傾向も知り得る利便性が高いアプリです。セッションの提供者の工夫により、エンターテイメント性のあるセッションに仕上げることも可能です。参加者の参加へのハードルを下げることに苦慮することが多いのが心理士ですが、このアプリをさらに使い込んで、参加者の感情への理解を深め、日々の感情を楽しみながら感じられるように、積極的に利用していきたいと感じます。ありがとうございました。 - 公認心理師/臨床心理士 初田美紀子

参加者の方の声

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    女性

    June 27, 2018 at 2:21pm

    グラフで感情がビジュアライズされていることが良かった。グラフや日記のログをベースに分析できるので、その日その時間だけの気分に左右されず&その場限りで終わらない建設的な話ができる。

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    女性

    June 27, 2018 at 2:21pm

    ログを付けているだけでも、自分の傾向や振り返りとして有益ではありますが、自分の感情とどう向き合っていくかなどの次の行動に移すためには、このように場があることがとてもよかったです。日常から紐解いていくという点で、とても面白さを感じました。